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近年、環境問題や化石燃料の枯渇問題を背景に再生可能エネルギーが注目されている。本研究では比較的発電予測のしやすい水流や潮流、海流などの水の流れとマグナス効果を利用した垂直軸型マグナス水力発電装置の研究を行っている。 |
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図1にマグナス効果を示す。一様流体中の円筒が回転することにより円筒上下に流速差が生じる。同時にベルヌーイの定理に基づく圧力差が円筒上下に生じ、円筒を持ち上げるような揚力が発生する。この現象をマグナス効果という。 |
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図1 マグナス効果 |
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図2に垂直軸型マグナス水力発電装置の構成を示す。本装置のブレードは外部電源を用いて自転する円筒(マグナスブレード)であり、同ブレードに水流が作用するとマグナス効果による揚力が発生しタービン全体が回転する。 |
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(a)側面図 (b)上面図
図2 垂直軸型マグナス水力発電装置の構成 |
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本検討では解析を容易にするためブレードに生じる揚力の方向を流入する水流に対し、90(deg.)の方向と仮定した。(ブレードが左回転の時は進み、右回転の時は遅れとした。)図3にはブレード位置と適切な回転方向の関係を示す。同図(a)に示すように、タービン始動時には、ブレード位置θtが90(deg.)と270(deg.)となる時にブレードの回転方向を切り替える必要のあることがわかる。一方、駆動時にはこれに相対流速を考慮する必要がある。図3(b)はブレード位置に対するブレード位置に対するブレードの自転方向別の揚力発生方向を示したものである。同図にはタービン駆動時においてもブレード自転方向の切替位置は始動時と変わらず90(deg.)と270(deg.)となることがわかった。 |
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(a)始動時 (b)駆動時
図3 ブレード位置と適切な揚力の方向 |
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本装置は、外部電源でブレードを回転させているためその電力を最小にする必要がある。搭載されているマグナスブレードに生じる揚力Flは次式となる。 |
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・・・・・・・・・・(1) |
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但し、rb:ブレード半径、ρ:流体の密度、Vw:流速、ωb:ブレードの回転角速度である。発生する揚力はよどみ点(流速が0になる点)とその他の圧力差によって生じる。理想的なよどみ点の発生にはブレードの周速度を流速の2倍にする必要があるが、2倍以上とするとよどみ点がブレードから剥離してしまう。また、ブレード位置によっては抗力の作用が大きく働くため常に最適な揚力を必要としない。そこで本検討では周速度の上限を流速(今回流速Vwを0.4m/sとした)の2倍と設定し検討した。図4(a)にブレードに生じる合力F(揚力Flと抗力Fdの和)を、(b)に同合力をタービンの回転方向に向けるためのブレード周速度の特性を示す。図より、ブレード位置θtが0(deg.)と180(deg.)の時、周速度を上限となる流速の2倍とし、90(deg.)と270(deg.)の時、周速度を0(m/s)となるように周速度を減速させ、回転方向を切り替えれば良いことが判明した。 |
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(a)ブレードに生じる力 (b)検討結果
図4 適切なブレードの周速度の変化 |
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本研究では垂直軸型マグナス水力発電装置のブレードの回転方向及び回転速度について検討し、水流に対するタービン角度とこれらの関係を明らかにした。また、ブレードの回転速度の上限は流速の2倍となることが明らかとなった。 |
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