太陽光システム

PVモジュール表面の汚染対策に関する研究

近年,地球温暖化が問題になっており,再生可能エネルギーである太陽光を利用した太陽光発電が注目されています。しかし,太陽光発電に使用する太陽電池(以下 PV)モジュールは,屋外で長期間使用されるため,モジュール表面に汚染物質が付着します。この汚染物質が影響して発電電力が低下する問題があります。一般的に,PVモジュール表面が汚染された際の洗浄は,人為的作業を必要とします。したがって,長期的保守の観点からセルフクリーニングが必要です。そこで,本研究室では,セルフクリーニング効果を有する光触媒を応用して,PVモジュールを3種類の表面状況(A:無塗布,B:分子結合チタニアシリカ光触媒塗布,C:ガラス用光触媒塗布)で2013年3月から継続して長期暴露しています。PV用に開発された分子結合チタニアシリカ光触媒は,メタルウェザー試験によって実環境下20年に相当する耐久性を確認していますが,実際の自然環境下における耐候性(セルフクリーニング効果の維持)は明らかになっていません。昨年度の研究として他の発電維持方法である,帯電防止剤を応用してPVモジュール表面に付着するホコリの軽減手法を考案しました。継続研究として分子結合チタニアシリカ光触媒の耐自然環境性能を検証するために5年以上屋外暴露しているPVモジュールのセルフクリーニング効果の検討を行っています。本稿では,5年超にわたる屋外長期暴露における評価として,3種類のPVモジュール及び3種類の表面状況における1年間の発電電力量の推移を比較し,分子結合チタニアシリカ光触媒のセルフクリーニング効果が有効であるか確認を行い,その結果,単結晶とHIT型のPVモジュールにおける発電電力が改善されていることがわかりました。このことより,分子結合チタニアシリカ光触媒のセルフクリーニング効果は,5年超の屋外長期暴露後も有効であるといえます。今後の展望としては,継続研究をしていくとともに,PVモジュールの設置角度とセルフクリーニングの関係を明らかにすることによって更なる発電電力量の向上を目指します。