近年,燃料の枯渇問題や環境問題等の観点から「再生可能エネルギー」の重要性が高まっている。本研究室では「海洋再生可能エネルギー」を中心に自然エネルギーを利用した発電方法について日夜研究を行っている。


図1 可変翼枚数風力発電装置の構成

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図3 ブレード重なり角変化時の出力特性

 ブレード重なり角とは,本装置の固定翼と可動翼の位置関係を示すものであり,このブレード重なり角は風況に応じて常に変化するため出力特性に大きな影響を及ぼすと考えられる。図2は本システムのθb = 0[deg.](三枚翼駆動時)θb = 60[deg.](六枚翼駆動時)の出力特性を示す。図より,風車効率を表す出力係数Cpの最大値はブレード重なり角θb = 0[deg.](三枚翼駆動時)の方が高くなっていることがわかる。また,始動風速は図中に示すようにθb = 60[deg.](六枚翼駆動時)の方が低く,単にブレードを重ねるだけで翼枚数を変えた場合と同様な特性変化の得られることが判明した。本装置ではこれら以外にも可動域である60[deg.]の区間で種々なブレード重なり角持つ状態が存在する。一般に風力発電では最大電力点を追従する制御が行われる場合が多いが,本装置において同制御を行うためには,ブレード重なり角θbと出力係数Cpの関係を明らかにする必要がある。図3はその一例で,本装置のブレード重なり角θbに対する出力係数最大値Cpmaxの特性を示したものである。図よりブレード重なり角θb = 10~20[deg.]においてCpmaxが減少していることがわかる。これは本装置の固定翼と可動翼の干渉が原因であると考えられる。

 本研究では始動性や効率の面で優れた特徴を有するマイクロ風車として可変翼枚数風力発電装置を提案し,種々な検討を行っている。図1に可変翼枚数風力発電装置の構成を示す。同装置は回転軸に固定された固定翼とこれに対して60[deg.]の可動域を持たせた可動翼の2つのロータを有しており,これらの翼の重なりを利用して,前方から見た翼枚数を可変することのできる風車である。この機構から始動時は高トルクな六枚翼風車として動作することができ,始動後は高効率な三枚翼風車として駆動する。
 今年度の研究では,本装置の固定翼と可動翼の重なり角度(ブレード重なり角)の風車特性に及ぼす影響について検討を行う。




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図2 三枚翼駆動時と六枚翼駆動時の風車特性

実験結果を踏まえて試作一号機を製作した。
供試装置からの改善点として
・マグナス効果を増大させるために
 ブレードを三本に増やし,
 ブレードの径を大きくした。(図5)
・内部シャフトの損失をなくすために,
 ブレード駆動用モータを防水加工し下部に配置した。

 今年度の研究では本装置のブレード重なり角と出力特性の関係を明らかにした。その結果,本システムを最も効率よく動作させるためには,ブレードが完全に重なり三枚翼風車として駆動する必要があると判明した。その結果,本装置の最大電力点を追従するためにはブレード重なり角の影響を考慮した制御方法を提案する必要のあることが明らかとなった。