近年,燃料の枯渇問題や環境問題等の観点から「再生可能エネルギー」の重要性が高まっている。本研究室では「海洋再生可能エネルギー」を中心に自然エネルギーを利用した発電方法について日夜研究を行っている。


 図4に製作したマグナスブレード駆動制御回路を示す。この回路を使用してモータを正転逆転させる動作実験を行った。図5は本制御装置を用いて直流モータを駆動した場合のモータ端子電圧並びにバッテリ-端子電圧の過渡応答を測定したものである。図より単にon/off制御を行った場合にはモータ電圧の正負の切り替え時に大きな電流が流れてしまうことがわかる。また,これによりバッテリー電圧もモータの回転方向が切り替わる際に大きく変動しており,機器や回路にストレスがかかると考えられる。

図3 ブレードの位置と揚力L, 抗力Dbの関係

 モータの正転逆転の切り替えをモータの回転速度を減速させて行うことができれば,上記のような切り替え時の大電流は生じない。そこで,これを実現する回路として図6に示すようなon/off信号にPWM信号を付与できる回路を製作した。図8に同制御回路を用いてモータを駆動させた場合のバッテリー端子電圧とモータ端子電圧の波形を示す。図より,バッテリー端子電圧波形に大きな電圧降下は見られず,製作した回路の有用であることが分かる。

図4 on/offのみの制御回路図

図5 on/off制御によるバッテリー電圧と
モータの端子電圧

図6 PWM信号付与時の制御回路図

 図8 PWM信号付与時のバッテリー電圧
とモータ端子電圧

図1 マグナス効果の原理図

 海流,潮流河川の水流などのエネルギーを利用して発電する装置として垂直軸型マグナス水力発電装置を提案し,研究を行っている

図2 供試発電装置の構成図

 本研究では,垂直軸型マグナス水力発電装置を提案し,提案装置のマグナスブレード駆動用制御回路としてHブリッジを用いた回路を製作して直流モータの正転逆転を切り替える動作実験を行った。これにより,PWM信号を付与し,モータの回転数が切り替わる際にモータの回転数を減速させることにより,スムースな運転が行えることがわかった。

 本発電装置の動作における基本原理となるマグナス効果について説明する。図1のように流体中に回転体をおくと,回転体の上部と下部に流速の差が生じることにより,圧力差が生じる(ベルヌーイの定理)。この時圧力が高いほうから低いほうへ回転体に揚力が生じる現象をマグナス効果という。




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 供試装置を製作し,河川での実験を行うことにより本装置の出力特性について検討行う予定である。

提案装置の構成
 図2に垂直軸型マグナス水力発電装置の構成を示す。緑色の部分は円柱形の筒のようなものでできており,これを
マグナスブレードと呼んでいる。水上にはマグナスブレードを回転させるためのモータと発電機が設置される。

動作原理
 マグナスブレードを流体中で回転させるとマグナス効果により,同ブレードに揚力が生ずる。この揚力によって得られるタービンの回転により,発電機が駆動する仕組みとなっている。

実験結果を踏まえて試作一号機を製作した。
供試装置からの改善点として
・マグナス効果を増大させるために
 ブレードを三本に増やし,
 ブレードの径を大きくした。(図5)
・内部シャフトの損失をなくすために,
 ブレード駆動用モータを防水加工し下部に配置した。

 図3にマグナスブレードの位置θt並びにブレードの回転方向とその時の揚力L・抗力Dbの発生方向を示す。図示のように本システムにはθt=0°と180°でブレードの回転方向を切り替える制御が必要になることがわかる。本装置のブレード制御装置としてはHブリッジ回路を用いることとした。