タービン出力の概算から,出力の向上には流速の増加が効果的であることがわかった。そこで流速を向上させる効果をもつレデューサー及びディフューザー(図3)を付与した装置が既に提案されている。レデューサーには入り口と出口の面積比に応じて流速を増加させる効果があり,ディフューザーには内部の流体を吸い出すような吸い出し管効果がある。図4はこれらの装置の増速効果を風洞で測定した結果である。実験は面積比4:1 の供試装置を用いて行った。図よりレデューサーの増速効果は面積比となる4 倍に達していないことがわかる。これは,出口部分の圧力低下に基因する流入抵抗が原因であり,レデューサーのみでは理論的な増速効果は得られないことが判明した。また,図よりディフューザーみの増速効果もあまり期待できないことがわかる。しかしながら,レデューサーとディフューザーを組み合わせた場合にはこれらを単体で用いる場合と比べて,大きな増速効果を得られることがわかった。これは,流速の増加による圧力低下を出口にかけ回復させることにより流入抵抗を軽減しているためであると考えられる。
図1 マグナス効果の概念図
図4 レデューサー及びディフューザーの増速効果
図3 レデューサー及びディフューザー
マグナス効果とは,粘性を有する一様な流体中に置かれた回転体に揚力が生ずる現象である。図1にマグナス 効果の概念図を示す。図示のように回転体の上方と下方の流速には物体の回転に基因する速度差が生ずる。この流速差はベルヌーイの定理により圧力差を生じさせ,この圧力差による力が揚力となる。
今後の課題としては,発電機を搭載した供試装置を製作しトルクとタービン回転数の特性を明らかとすること等が挙げられる。
実験結果を踏まえて試作一号機を製作した。
供試装置からの改善点として
・マグナス効果を増大させるために
ブレードを三本に増やし,
ブレードの径を大きくした。(図5)
・内部シャフトの損失をなくすために,
ブレード駆動用モータを防水加工し下部に配置した。
図2 マグナス波力発電装置の構成図