近年,燃料の枯渇問題や環境問題等の観点から「再生可能エネルギー」の重要性が高まっている。本研究室では「海洋再生可能エネルギー」を中心に自然エネルギーを利用した発電方法について日夜研究を行っている。


図1.浮体式マグナス波力発電装置の構成

 先ずは本装置の動作解析に必要となる過渡方程式を導出する。

 導出するにあたり,以下のような仮定を設けることとした。
・洋上の波は正弦波と仮定する。
・得られるエネルギーは十分大きく,装置の影響により波の 形は崩れないものとする。
・装置の負荷は タービン出力が最大となるような適切な値に制御されたものとする。

 以上より導出した本発電装置の過渡方程式を表1に示す。

表1.本発電装置の過渡方程式

 本研究室では,波の上下運動とマグナス効果を利用して発電する浮体式マグナス波力発電装置の開発を行っている。本研究では,本発電装置の動作解析に必要となる過渡方程式を導出し,同方程式を用いて本システムの基本的な動作解析を行う。

図3.河川での実験の様子
(動画です。ボリューム注意)

 浮体式マグナス波力発電装置の構成を図1に示す。本発電装置は海面に浮かび,波により上下運動する浮体と浮体に牽引されて,水中で運動するタービンとで構成されている。タービンのブレードにマグナスブレードを採用しており,波の反復運動から一定方向の回転運動を得ることができる。なお,タービン部に流速を増幅させるためのレデューサ/ディフューザならびにブレードに作用する抗力を低減できるガイドベーンが取り付けられている。



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 発電機ユニットを製作し,本発電装置に取り付け,出力測定を行う。その後,得られた結果を基に種々な検討を行う。
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図2.本発電装置の動作解析の結果

実験結果を踏まえて試作一号機を製作した。
供試装置からの改善点として
・マグナス効果を増大させるために
 ブレードを三本に増やし,
 ブレードの径を大きくした。(図5)
・内部シャフトの損失をなくすために,
 ブレード駆動用モータを防水加工し下部に配置した。

 表1に示す方程式を用いて本システムの動作についてシミュレートした。その結果を図2に示す。同図にはHwaveVwωtPtの各応答波形ならびに計算に用いた定数を示してある。波が正弦波状に変化すると装置が上下運動することとなる。この上下運動によりタービンに図示のような流速Vwの水流が流入する。これによりタービンはωで回転することとなる。また,レデューサ/ディフューザならびにガイドベーンの効果によりタービンの回転速度ωtが大幅に増速しており,タービン出力Ptも図示のように改善されていることが判明した。