近年,燃料の枯渇問題や環境問題等の観点から「再生可能エネルギー」の重要性が高まっている。本研究室では「海洋再生可能エネルギー」を中心に自然エネルギーを利用した発電方法について日夜研究を行っている。


Development of Guide Vane for a Vertical Axis Water Power Generation System with Magnus Effect

 先ず本装置の基本的な特性解析として,本装置が起動するために必要になるブレード本数について検討を行う。なお,計算には図に示した本装置の各ブレード位置θt揚力Lb・抗力Dbの関係を用いることとする。本検討ではブレードが受ける抗力とし,ブレードに生ずる揚力Lbとなるように調節した場合を想定し,これらの合力の接線方向成分Ftを本装置の動力として計算した。これらの結果を図4に示す。同図は各ブレード本数におけるブレード位置θtと接線方向成分Ftの大きさを表したものである。同図よりブレード本数が本以上の場合において装置を起動可能であることが判明した。

 図5.ガイドベーンの取付け角度θg及びブレード位置θtの関係

 再生可能エネルギーの中でも,水力エネルギーは比較的予測のしやすいエネルギーである。本研究ではマグナス効果を用いて駆動する垂直軸マグナス水力発電システムを提案し,種々な検討を行っている。

 図.垂直軸マグナス水力発電システムの構成

 図ブレードの位置と揚力Lb・抗力Db の関係

 本装置の出力を向上させる方法として装置にガイドベーンを付与する方法を提案する。本装置にガイドベーンを付与する場合その角度が重要となる。同角度は次のように検討を行った。図にシステム上部から見た場合の動作の様子を示す。ガイドベーンの取付け角度θg及びブレード位置θtは水流の流入角を基準に図のように定義した。これらの関係は最大電力追従制御を行う場合,周速比λが最適な値λop一定で制御されることをふまえると次式のように表すことができる。



 上式より得られたブレード位置θtに対するガイドベーンの角度θgを図に示す。なお,同図には最適な値
λopを0.5,1,3 とした場合の計算値を示してある。図より提案するガイドベーンはブレード駆動範囲の半分以上で有効となることがわかる。また,同有効範囲はλopの小さくなるほど広がることが判明した

 図に垂直軸マグナス水力発電装置システムの構成を示す。本システムは垂直軸型のタービンに,電動機により駆動するマグナスブレードが取り付けられた構造となっており,図示のように発電機やマグナスブレード駆動用のモータは水上に設置される構造となっている。マグナスブレード自身の回転と水流によって生ずるマグナス効果による揚力が本装置の駆動力となる。

 図.マグナス効果

 本研究では,垂直軸型マグナス水力発電装置を提案し,提案装置の起動可能となるブレード本数について検討を行った。これによりブレード本数3本以上で装置が駆動可能であると判明した。また本装置の出力を向上させる方法として装置にガイドベーンを付与する方法を提案した。ガイドベーンの取付け角度について検討を行い,周速比によりその角度を決定する方法を提案した。またガイドベーンの角度は周速比が小さい程広いブレード位置に設置可能であることが判明した。

 図6.各周速比におけるブレード位置θtに対するガイドベーンの角度θgの関係

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 .ブレードの位置と揚力Lb 抗力Dbの関係

 図3にマグナスブレードの位置θt並びにブレードの回転方向とその時の揚力Lb・抗力Dbの発生方向を示す。図示のように本システムにはθt=0[deg.]と180[deg.]でブレードの回転方向を切り替える制御が必要になることがわかる。
 本発電装置の動作における基本原理となるマグナス効果について説明する。図のように流体中に回転体を置くと,回転体の上部と下部に流速差が生じることにより,圧力差が生じる(ベルヌーイの定理)。この時圧力が高い方から低い方へ回転体に揚力が生じる現象をマグナス効果という。

実験結果を踏まえて試作一号機を製作した。
供試装置からの改善点として
・マグナス効果を増大させるために
 ブレードを三本に増やし,
 ブレードの径を大きくした。(図5)
・内部シャフトの損失をなくすために,
 ブレード駆動用モータを防水加工し下部に配置した。