2012年度活動総まとめ

 もくじ

+ソーラーカー関連

+その他



 ソーラーカー関連



・電装システム構成の変更

 今までの電装システムは、充電をする際にカウルを外し、シャーシとカウルを延長ケーブルで繋ぐという方法を取っていました。しかし、それではシャーシとカウルで別々に作業ができないので、作業効率が悪く、お互いの作業に影響が出ていました。
 そこでシャーシの側面についていたMPPTをカウルの内側3か所へ移設しました。また、シャーシ後部と側面に分散していた主配線、計測器、補器電源を電装ボックスとして1箇所に集合させ、ユニット化しました。この電装ボックスはCFRPで製作し、シャーシから取り外しができるようになったため、作業も行いやすくなりました。
 これらを変更したことによって、充電システムがシャーシから分離できるようになり、充電・メンテナンス作業効率が向上しました。

・バッテリセル計測システム

 右の図はバッテリ計測を行っているシステムの構成を表したものです。 この計測システムは、放電中のバッテリセルの電圧をデジタルマルチメータで自動測定します。 放電試験を行い、温度によって放電特性が変化することがわかってきたため、以前の計測システムに新たに温度計を追加しました。 また電子負荷装置も自動制御できるように改良しました。  これにより、セルの電圧と温度の同時計測、計測システムの自動化が可能になりました。
 プログラムはユーザーインターフェース改良し、動的内部抵抗測定や過放電防止の機能を追加しました。
さらに表示方法では、温度を棒グラフで表示することによって、ばらつきを可視化できるようにしました。



・バッテリユニットの放電特性の均一化

 以前から放電特性の均一化を行なっており、今年度はユニット内の温度差異に注目して行いました。 改良した計測システムでファンの動作時と停止時の2種類の放電試験を行い、温度差がもっとも大きくなる放電終端の結果を比較しました。
 ファンを使用した場合は、ファンを使用しない場合に比べ平均温度が約7℃下がることがわかりました。 しかし、冷却ムラがあり、ケース内に最大で13℃の温度差が生じました。
放電終端の電圧は、ファン停止時には平均電圧3.4Vに対してバラツキが±1%でしたが、ファン動作時には、温度が低いセルの電圧が低下したため、平均電圧3.3Vに対してバラツキが±5%になっていました。
 現状のバッテリユニットではエアフローが十分に確保されていないため、冷却ムラが発生してしまっていると考えられます。 今後はバッテリパックの間隔と冷却ファン位置を検討し、試作・実験を行っていきます。

・レースマネジメント支援システムの改良

 本チームでは監督とマネージャーが支援システムを用い、レースの走行計画を検討・決定しています。 その走行計画をドライバーに伝え、ドライバーは車載計測器からの情報を見ながら指示に従って走行します。 自チームの周回数を増やすエネルギーマネジメントと、上位入賞のための他チームの動向把握が可能な支援システムに改良しました。
・簡易エネルギーシミュレータとは…
 目標周回数や目標時間などを入力することで、走行速度やラップタイム、消費エネルギーを試算するプログラムです。
・発電量予測プログラムとは…
 照度計で太陽光を測定し、その結果を元に走行中の発電量を予測するプログラムです。
・ラップタイム計測システムとは…
 同じクラス内の他チームのラップ数、ラップタイム、平均速度などを計測するプログラムです。 それにより他チームの動向を把握することができます。 また、自チームはピットタイムを除外して計測することで、走行計画の立案に必要となる正確なラップタイムを計測することができます。
 これらの支援システムを改良したことで、短時間に複数の走行計画を検討することができました。

・ステアリングホイールの変更

 ステアリングの内蔵ディスプレイ変更にともなって、本体とカバーのCFRP(ドライカーボン)化を行いました。
旧モデルのディスプレイは表示情報が少なく、ピットの走行指示通り走行するにはドライバーの負担が大きいという問題がありました。 そのため、これまでの走行速度・発電電力・バッテリ入出力電力・モータ消費電力の表示に加えて、積算電力量・平均速度・ラップタイムなどを追加しました。
 これにより、ピットからの走行指示をドライバーが実行しやすくなり、負担を軽減することができました。
 また、以前から平板やアングル材など簡単な形状であればCFRPの加熱成型が可能だったので、その発展としてCFRPの立体製品を製作する技術の習得を目指しました。
ステアリングの本体は鉄板を組み合わせて立体型を製作し、それにプリプレグ※を積層して加熱成形しました。 カバーは硬質ウレタンをコア材に表面に硬化処理を施して雄型を製作し、それに型用のプリプレグを積層して、反転形状の雌型を製作しました。 その完成した雌型の表面仕上げ後に製品用プリプレグを積層し、カバーを製作しました。 製作を通して、CFRPの立体製品を製作する技術を修得できました。
※炭素繊維にあらかじめ樹脂を編み込みシート状にしたもの



 その他



・体験授業用電動カートの製作

 体験授業や展示用に電動カートを製作しました。
ステアリングはCFRPで製作し、ディスプレイには消費エネルギーをわかりやすくするために、身近な電化製品を例に表示しました。 本プロジェクトで培ってきた技術を地域に還元する一環として、この電動カートを使った体験授業を小中学校3校で行い、電気エネルギーを体感してもらえました。

・体験入学用ミニチュアソーラーカーキットの再設計

 今年度は、体験入学で用いるミニチュアソーラーカーキットの再設計を行い、主に1年生が行うことで設計・技術の習得を目指しました。 コンセプトとしてオリジナルの部品点数を削減することをかかげました。
製図・設計にはAutoCADを使用し、試作品を製作する際にボール盤、折り曲げ加工機、ワイヤー放電加工機などの基本的な工作機械の使用方法を習得しました。
 変更点としては、シャーシに金具で設置していたスイッチを、シャーシの金具を折り曲げ、その部分にスイッチを固定、部品点数を削減しました。
 発案、設計から試作、デバッグ、完成までの一連のプロセスを学習し、ものづくりの基本を学ぶことができました。


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