近年,燃料の枯渇問題や環境問題等の観点から「再生可能エネルギー」の重要性が高まっている。本研究室では「海洋再生可能エネルギー」を中心に自然エネルギーを利用した発電方法について日夜研究を行っている。


Effects of the Distance between the Blades for the Wind Turbine Generating System with Controlling the Number of Blades
可変翼枚数風力発電装置の最適な翼間距離に関する研究
三枚翼の翼間距離による出力特性
ガイドレール
リング状ブラシ
配線用ブラシの外観
翼間距離とブレード揚力との関係

 本装置はヨー制御により、装置自体が360°以上回転するため、支柱と装置との間に配線用ブラシを施す必要がある。そこで支柱にリング状ブラシ(図5)、装置側にガイドレール(図6)を取り付け、図7のようなスリップリング状の配線用ブラシを製作した。

配線用ブラシの製作

 次に供試装置における翼間距離と出力特性の関係について述べる。図3は翼間距離 d を4cm,6cm,8cmとした場合の出力特性である。図中のプロット点はd=6cmにおける実験値であり、実線は同実験値を基に導出した近似曲線である。同図より、翼間距離が広すぎると(d=8cm)、多翼型風車のような高トルクタイプの特徴が表れることがわかる。また、翼間距離が狭すぎると(d=4cm)前項で述べたように十分な揚力が得られなくなるため、供試風力発電装置における最適な翼間距離はd=6cm となることが判明した(周速比λop=8.1、出力係数最大値Cpmax=0.29)。

図2 異なる翼間距離に対する始動特性

風車の始動特性に及ぼす翼間距離の影響
合体

 本装置では最大効率の追従を行うためMPPT制御回路を装置内に組み込む必要がある。 制御では回転数の検出にロータリーエンコーダを用いるため、これらをナセル内に収める必要があり、図8のような制御台の製作を行った。

最大電力点追従制御回路の組み込み
組み込む制御回路

図7 配線用ブラシの外観

図5 リング状ブラシ

図6 ガイドレール

 本研究室では始動性や効率の面で優れた特徴を有する小型風車として、可変翼枚数風力発電装置を提案し、種々な検討を行っている 。同装置は2つの三枚翼ロータが同一シャフト上に取り付けられた構造となっており、高トルク型の六枚翼風車で始動し、始動後には高効率な三枚翼風車として駆動する風力発電装置である。本年度は同風力発電装置の出力特性に及ぼす、前後翼の翼間距離の影響について検討を行い、最適な翼間距離を有する供試可変翼枚数風車の開発を行った。

研究背景
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 供試風力発電装置のナセル内には、最大電力点追従を行う制御回路を搭載するため、図4のような内部を外部から容易に把握できる構造とした。また軽量化を図るため、FRPを用いて製作を行った。

ナセルの外観

図4 ナセルの外観

ナセルの製作
異なる翼間距離に対する始動特性

実験結果を踏まえて試作一号機を製作した。
供試装置からの改善点として
・マグナス効果を増大させるために
 ブレードを三本に増やし,
 ブレードの径を大きくした。(図5)
・内部シャフトの損失をなくすために,
 ブレード駆動用モータを防水加工し下部に配置した。

今後の予定

図8 組み込む制御回路

図3 三枚翼の翼間距離による出力特性

 一般的に揚力型風車のブレード揚力は、ブレード上下の流速差に基因する圧力差によって生ずることが知られている(ベルヌーイの定理)。本研究対象である可変翼枚数風車は三枚翼駆動時に前後のブレードが重なるため(図1参照)、翼間距離によっては十分な揚力を得ることができない可能性がある。実際に流線を可視化するために複数の糸を貼り付けたブレードを2枚重ね合わせ、いくつかの翼間距離で実験したところ、翼間距離が短すぎる場合(供試装置ではd ≤ 4cm)前後のブレードが干渉することが判明した。

可変翼枚数風力発電装置

 前項より翼間距離が短すぎるとブレード同士が干渉することが判明した。図2に翼間距離と始動特性の関係を示す。六枚翼では低風速領域での始動特性が良い。翼間距離を50mmより離していくと始動特性が落ちている。これは翼間距離が広がることにより個々の風車がそれぞれ独自の回転力を得ているためであると考えられる。




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図1 可変翼枚数風力発電装置

制御回路を搭載した供試装置におけるフィールド実験

・強風時安全停止用尾翼の製作