第1回 電気設備学会 学生発表会

受賞論文:IHクッキングヒータの電源に混入するノイズによって発生する騒音

受賞者:継田 夏海(5年 機械電子工学科))

受賞日:2019年12月26日


~論文要旨~
 昨今、家庭等にIHクッキングヒータ(以降、IH調理器)が普及している。しかし、IH調理器から可聴域騒音が発生し、人々に不快感を与えているという報告がある。先行研究では、商用電源に重畳した電源ノイズが騒音の原因であることや、鍋底径を大きくすると騒音が大きくなることが報告されている。また、重畳する電源ノイズ周波数によって騒音の大きさが変化することが示唆されたが、原因の解明には至っていない。先の研究では、商用電源100Vに対して0.05%~0.7%程度のノイズが重畳すると環境省が定める環境基準を超えることが明らかにされている。環境省の騒音に係る環境基準「専ら住居の用に供される地域」「主として住居の用に供される地域」における騒音は、昼間で55dB以下、夜間で45dB以下が基準値として設定されている。一方、電源に重畳するノイズの周波数に関する規制は設けられているが、CISPR規格14-1より、9kHz以下は規制の対象になっていない。したがって、IH調理器から騒音を出さないための新たなガイドライン策定が必要であると考える。本研究では、1~9kHzの電源ノイズを重畳し、騒音の判定を行う。そして、電源ノイズと騒音の関係を明らかにする。

 本稿では、IH調理器用の騒音に関するガイドラインの策定に資するため、文献より、重畳する電源ノイズ振幅値を300mVrms、100mVrmsとしたときに発生する可聴域騒音を報告する。


~受賞者のひとこと~
 この度、第1回電気設備学会学生研究発表会にて準優秀賞を受賞させていただき、大変光栄に思います。また、貴重なお時間を割いて遅くまでご指導いただいた米盛先生をはじめ、研究室の先輩方、同級生には非常に感謝しております。受賞を通して、研究のみでなく様々なことに対して熱心に、真剣に取り組むことが重要であるということを実感するとても良い経験となりました。今回の受賞でおごることなく励みとして、今後もIH調理器から発する可聴領域騒音の研究を進めたいと思います。

2020年04月29日