第37回 電気設備学会全国大会 発表奨励賞

受賞論文:100V級IHクッキングヒータ用AC-AC直接変換回路の提案
受賞者:辻 涼太(専攻科 2年)
受賞日:2019年12月6日


~論文要旨~

 現在、IHクッキングヒータは一般家庭に普及が進んでいる。IHクッキングヒータにおける鍋の加熱方法は、高周波誘導加熱(InductionHeating:IH)を利用したものである。高周波誘導加熱を行う際は、商用電源(100V-50Hz)を高周波交流(ex.20kHz)へ変換する必要がある。一般に商用電源から高周波交流への電力変換は、商用電源を一旦直流へ順変換してから、高周波交流に逆変換する間接変換手法が使用されている。同手法は商用電源を間接的に高周波交流に変換しているため、変換回数が多くなる。商用電源から高周波交流への電力変換は間接変換手法の他にAC-AC直接変換がある。AC-AC直接変換は、商用電源を直流に順変換せずに直接、高周波交流に変換する手法である。同手法は、間接手法に比べ電力の変換回数が少ないことから、装置体積の小型化や損失の軽減等が期待できる。そのため、双方向スイッチを応用したAC-AC直接変換によるIH調理器の研究が進められている。そこで、筆者らは卓上型IHクッキングヒータを対象に損失低減を目指したAC-AC直接変換回路の研究に着手した。そして、逆阻止耐性をもたせたMOS-FETで構成した双方向スイッチによるAC-AC直接変換回路を考案し、負荷金属をステンレス鋼板とした際、加熱できることを明らかにした。また、提案回路に使用する素子を定格の高い素子に変えることで提案回路の出力向上を図った。これにより負荷金属をステンレス鋼板から鍋による実験が可能となった。

 本研究では、卓上型IHクッキングヒータを対象としたAC-AC直接変換回路を提案する。また、金属負荷をステンレス鋼板から三層ステンレス鍋に変えて加熱実験を行ったので、その結果を報告する。

 

~受賞者のひとこと~

 この度、第37回電気設備学会全国大会より「全国大会優秀発表賞」を頂きました。日々の研究の成果をこのような形で認めていただけることは大変光栄に思います。今回この賞を受賞できたのは、指導教員の米盛先生やOBの先輩方、また、相談に乗ってくれた研究室仲間のお陰だと思います。今後もこの受賞を糧に、より熱心に研究を取り組みたいと思います。そして、より大きな成果に繋がるよう精進していきます。

2020年04月29日